速報 10/29給特法「抜本見直し」の布石に改正案を国会提出

政府は、現在開会中の臨時国会に、教職員給与特別措置法(給特法)改正案を提出した。教員の働き方改革に向け、勤務時間を年単位で調整する「変型労働時間制」の導入を可能にすることと、教員の残業時間の上限ガイドラインを法的に位置付けることが柱。

文部科学省は、今国会で改正案を成立させ、2020年度から条例整備などを自治体に促し、十分な実行体制を整えた上で、22年度中を予定している勤務実態調査に臨みたい考え。調査結果を基に同省は、教員の労働環境や給与体系の抜本見直しに踏み出す構えで、改正案審議では中長期的な課題を議論し、制度改正への布石にすることも狙っている。

変型労働時間「導入要件」を規定

労働時間を月・年単位で調整する「変形労働時間制」について労働基準法は、「労働者一般」には適用可能だが、地方公務員に対して「適用しない」と規定していた。改正案は、夏休み期間中などの「休日のまとめ取り」ができるよう、自治体の判断により、公立学校教員にも変形労働時間制の適用を可能にした。

変形労働時間制導入に向けたスケジュール

文科省は、▽19年度中に市町村で導入を検討▽20年の6月議会で都道府県が条例を改正▽都道府県の条例を踏まえ、20年末までをめどに市町村が関連規則などを整備▽20年度末までをめどに、各学校が年間計画を策定▽21年度から制度スタート―といったイメージを描いている。

運用に当たっては、すべての教員に画一的に導入するのではなく、例えば育児中など「それぞれの事情」を踏まえることを求める。また、変形労働で勤務時間を延長することにより、在校時間などが増加しないよう「導入要件」を省令で規定。例えば、残業の上限指針や部活動ガイドラインの順守、勤務間インターバルの導入などを要件として明確化する方向だ。

上限ガイドラインを「指針」に格上げ

文科省は今年1月、教員の残業時間について原則「月45時間、年360時間」までとする上限ガイドラインを初めて策定した。ただ、法律上の根拠がない「指導助言」で、実効性が十分に担保されない状況にあった。

改正案は、このガイドラインを法律に基づく指針に「格上げ」することを盛り込んだ。これにより、自治体でも上限について条例や規則で定めることとなり、順守されていない場合は、改善を求めることができる。

併せて文科省では、学校の業務改善状況について全国調査を実施しており、各教員の勤務時間を客観的に把握していない自治体の実名公表も計画。上限の実効性確保への取り組みを強化する。

日教組は「給特法廃止」までの一つのプロセスとして、反対の立場は取らない。

残業上限に法的根拠を持たせることには、「月45時間、年360時間まで『ただ働き』することが法律上肯定される」などと批判は根強い。教員の職務は「自発性・創造性に期待する面が大きく、単純に勤務時間が測定できない」という考えの下、教員には超過勤務手当がないためだ。教職員団体などは、そもそも超勤手当を設けていない給特法を「廃止すべきだ」と主張している。

しかし中央教育審議会(文科相の諮問機関)の働き方改革に関する1月の答申は、中長期的な課題として、「公立学校教員に関する労働環境について、給特法などの法制定の枠組みを含め、必要に応じて検討する」との文言を盛り込んでいる。文科省は答申に基づき、「改革のロードマップを立法府で共有したい」(幹部)としており、抜本改革も視野に今回の審議を進めていきたい考えだ。

大臣会見(萩生田光一文科相)

Q、大学入試の英語民間試験をめぐり、大臣が先日、自分の身の丈に合わせて頑張ってもらえればとおっしゃった関係で、昨日、説明不足だったとおっしゃられたが、その後も、格差や差別の固定化を認めるような発言などと、公平性に関する認識について批判が上がっている。改めて見解を伺いたい。

A、先週24日のテレビ番組における発言の真意について、昨日、ぶら下がりの会見の中でも説明させていただきましたけれども、私は、どのような環境下にいる受験生においても、自分の力を最大限発揮できるよう、自分の都合に合わせて、適切な機会を捉えて、英語試験ですけれども、2回の試験を全力で頑張ってもらいたいとの思いで発言をしたものです。しかしながら、結果として国民の皆さま、特に受験生の皆さんに対して不安や不快感を与えることになってしまったと考えており、改めておわびを申し上げるところでございます。

Q、変形労働時間制と、それを柱にした給特法の関係で、昨日、大臣宛てに撤回や見直しを求める署名が提出された。提出した方々からは、夏休み中の休暇のまとめ取りは、変形労働時間制を入れなくても可能であるなどといった声が上がっていたが、改めてどのように受け止められているか。

A、昨日、ご指摘の署名について、現職の教師の皆さんや全国過労死を考える家族の会の方々などが来省し、事務次官が受け取らせていただきました。今回いただいたご要望、署名を含め、不安や懸念の声があることは承知をしております。そうした懸念点を払拭(ふっしょく)できる制度設計とする必要があると常々考えており、その点については国会において丁寧に説明をさせていただきたいと考えています。

具体的には、休日のまとめ取りのための1年単位の変形労働時間制の活用について、本年1月の中教審の答申においても、1年単位の変形労働時間制を導入することで、学期中の勤務が現在よりもさらに長時間化してしまっては本末転倒であるということ、それから、所定の勤務時間を現在より延長した日に、授業時間や児童生徒の活動時間も現在より延長するようなことがあってはならないと指摘をされており、導入に当たって、まずは業務の削減を前提とする必要があると考えております。

このため、改正法が成立した場合に新たに制定することとなる文部科学省令や指針において、指針における在校等時間の上限の順守などを規定することで、休日のまとめ取りのための1年単位の変形労働時間を活用する場合には、各教育委員会や学校において中教審答申の趣旨を踏まえた運用がなされることが担保される制度とすることとしております。

また、給特法自体については、まずは教師でなければできないことに教師が集中できるように、今回の法改正を含む働き方改革の強力な推進により業務を縮減し、その成果を社会に示しつつ、3年後に実施予定の教師の勤務実態状況調査を踏まえながら、長期的な課題として教師に関する労働環境について給特法などの法的枠組みを含めて検討を行う必要があると考えております。

Q、民間試験の発言について、大臣は発言を撤回するということでよいか。

A、きのう、真意について詳しく説明をしました。当然のことながら、発言を撤回した上で、そういう説明をしたつもりでおりますので、そのように受け止めていただいて結構です。

Q、身の丈発言について、野党側は、この問題を、きょうから始まる委員会等の機会で、辞任要求も視野に厳しく追及するとのことだが、まず、どういう姿勢で説明に臨まれるのか。また、教育行政について、いろいろな課題がある中で、大臣の発言が焦点になってしまったことについて、どのように考えられているか。

A、野党、与党問わず、国会でただされれば、きちんとその真意については説明をしていきたいと思います。文部科学行政の責任者として、自分の本意でないとはいえ、結果としてこういった不安を与えてしまう、受け止めをされてしまうような発言があったことは、私の不徳の致すところだというふうに反省をしております。

今後、信頼回復に向けてしっかりと結果を出していきたいと思いますし、すごく残念なのは、私自身は、この番組の中でも、ずっと通じて申し上げてきたんですけれども、要は、経済的に恵まれない子どもたちへの支援を法律などでさまざましてきたという自負がございましたので、そういった意味では、ぜひ受験生の皆さんに、いろいろな環境はあるけれども頑張ってほしいという思いを込めての発言だったので、決して見下したり、切り捨てたりするようなことを念頭に発言したのではないということだけは、改めて皆さんにきちんと伝えていきたいなと思っています。

Q、教育の機会均等について、大臣はどのように考えられているか。

A、当然のことながら、憲法およびそれを受けた教育基本法の規定等に基づいて、私としても引き続きこの件について、どのような環境下にいる受験生においても自分の力を最大限発揮できるように積極的な措置を講じてまいりたいと思っています。

Q、大学入試の民間検定について、格差を拡大するものだという認識は、身の丈という言葉を使った時点で、あるのではないかと考えるが、いかがか。

A、話のやりとりの中での言葉だったので、私は別に経済のことだけを指してお話ししたつもりはなかったんですけれど、制度としては平等性が担保される仕組みをつくってきたと思います。しかし、そこにたどり着くまでの、言うならば受験勉強の在り方というものについてはさまざまなツールがありますので、そこを全てイコール・フッティングするということは難しいなという問題意識の中での発言だったと私も承知しております。

ぜひ誤解のないように、きちんとこれからも説明して、いずれにしても、これで終わりじゃなくて、さらに充実をさせていきたいと思っていますので、そういった政策で結果を出していきたいと思っています。

Q、さらに充実をさせた上で導入すべきではないか。

A、この試験については、常々ご報告しておりますように、私も就任以来、さまざまな課題があることは十分承知の上で取り組みをしてきました。9月末で期限を切ったことによって、受けるべき大学の中身が明確になってきた、受けられる会場の場所が明らかになってきた、こういう状況にありますので、さらに足らざるところを補いながら、ぜひこれは予定通り実施をさせていただきたいと思っています。

Q、身の丈というのは比喩だと思うが、これは要するに何のことなのか。言い換えると何なのかを確認したい。

A、繰り返し申し上げていますけれども、自分の力を最大限発揮できるよう、自分の都合に合わせて、適切な機会を捉えて2回の試験を全力で頑張ってもらいたいという思いで発言をしたものです。

Q、自分の力というのは、学力という意味か。

A、もちろん学力が必要です、試験を受けるには。

Q、本番の試験を行う業者が、事前の検定や対策指導で収益を得ていることについて、利益相反になるのではないかという指摘がある。業者が、学校の勉強で解けないような問題を出すと、みんなが検定や対策指導を受けざるを得ないという問題も起こり得るかと思うが、利益相反について考えがあれば。

A、今回は既存の外部の試験を大学入試に活用するということで、既に存在をしていたものでございます。そういう意味では、その団体があらかじめ参考書の発行をしていたりとか、あるいはさまざまな資料を販売しているという実態は承知をしておりますけれども、直ちに利益相反になるというふうには認識をしておりません。

Q、先ほど、撤回するのかという質問があったが、大臣はきのう、ぶら下がり取材で、確かにおわびはされた。ただ、質問に対して、報道のされ方によって、良くないふうに受け取られたと。前後の文脈、全体で見れば、そういう意図はないというようなことをおっしゃったが、そういう言い方をしていると、とても、きのうの段階では撤回とは思えないが、きょう、改めて撤回するという意味なのか。

A、撤回をします。

Q、本日ということでよいか。きのうは撤回を…

A、きのう、撤回という言葉を使っていなかったので、改めて撤回をさせていただいて謝罪を申し上げました。(了)