「大学入試英語成績提供システム」の導入延期に対する書記長談話

2019年11月1日

日本教職員組合書記長 清水 秀行

本日、萩生田光一文科大臣は、来年度から大学入学共通テストに導入する予定だった「大学入試英語提供システム」について、2024年度をめどに実施を延期することを公表した。

大学入学者選抜への英語の民間試験の活用については、公平・公正性が担保されるのか、経済・地域間格差の解消などの受験機会の均等がはかられるのかなど、様々な観点から課題が指摘されてきた。これに対して、文科省は、各実施団体に具体的な実施日時や会場の公表、受験料の軽減、合理的配慮などにかかる課題の解決を要請するとしてきた。しかし、今日に至るまで実施団体による情報公開が遅れたり、内容が変更されたりしており、受験生や高校関係者等が困惑・混乱している実態がある。

また、10月24日の文科大臣による「身の丈」発言が多くの非難を受け、発言の撤回に至ったが、事実上、民間試験の活用により受験生の経済・地域間格差等を拡大しかねないことを容認した点が問題である。

日教組は、2017年の中教審「教育振興基本計画部会」における「第3次教育振興基本計画」策定にむけた関係団体ヒアリングにおいて、「大学入学共通テストで実施される英語については2技能であっても共通テストで行うことが適切であり、民間試験の活用については受験費用、受験機会、地域格差など公平性に懸念がある」等を意見表明してきた。教育委員会に対して文科省への意見具申をするよう各単組がとりくむとともに、文科省に対しては、大学入学共通テストは大学入試センター試験と同様にすべてを大学入試センターで行うべきであり、文科省が責任をもって公平・公正な制度を構築する必要があることを要請した。

10月24日に、立憲民主党をはじめとした野党も、英語民間試験の活用を延期するための「独立行政法人大学入試センター法の一部を改正する法律案(民間英語試験導入延期法案)」を衆議院に提出していたところである。

大学入学者選抜において、教育の機会均等の観点からも、公平・公正性が担保されず、格差解消の具体的な方策が示されないまま制度が導入されることは許されない。

日教組は、今後も、公平・公正な大学入学者選抜制度を求めるともに、大学入学資格試験制度をめざしてとりくんでいく。