速報 萩生田文科大臣「1年単位の変形労働時間制について際限のない勤務時間の上乗せはできない。…」と答弁

速報 萩生田文科大臣「1年単位の変形労働時間制について際限のない勤務時間の上乗せはできない。上限ガイドライン指針で業務の適正化、在校時間の縮減の実効性を高める。」と答弁

衆議院本会議給特法趣旨説明・質疑【記録】(給特法関係のみ)

日時:2019年11月7日(木)13:00~14:30

質疑

山本和嘉子議員 (立憲民主 京都):

本法律案の主な改正内容は一年単位の変形労働時間制を地方公共団体の判断により導入できるようにするとともに、文部科学大臣が教育職員の業務量の適切な管理等に関する指針を策定し、公表するという事ですが、その内容についてはすでに多くの反対意見や懸念の声があがっています。学校の働き方改革において、もっとも重要なことは教員の労働環境の改善、大幅な増員、そして業務量の削減であります。しかし、今回の法律案はその大事な部分にどのような効果があるのか全く見えてきません。教員の働き方改革については、大臣自身も先日の文部科学委員会における所信的発言で学校における働き方改革は特効薬のない総力戦であると述べているように、一筋縄ではいかない問題です。現場の声を聞き、議論を積み重ね、様々な角度から判断していくことが必要です。そもそも教員の長時間勤務が常態化している要因を分析せずにその改善策を講ずることはできないのです。本法律案による教員の長時間勤務の縮減見込みはあるのでしょうか。文部科学省は、この制度の導入は教員の長時間勤務の縮減つながらないと説明しています。そうであるならば、なぜこの制度を導入しなければならないのでしょうか。長時間勤務が減らないのであれば全く意味はありません。この変形労働時間制の導入自体が逆に勤務時間を増幅させているといわれていますが、文部科学大臣のご所見を伺います。

さらに、本法律案では、長時間労働の是正策の多くが地方公共団体の判断に任されているということですが、全く無責任です。文部科学省は傍観せず、その役割を果たすべきです。休日のまとめ取り期間中には部活動を行わないこと、繁忙期として長い勤務時間を設定した期間には、時間外勤務を行わないことなど、地方公共団体において適切な運用がなされるよう制度の趣旨をふまえた厳しいルールを策定すべきではないでしょうか。策定しなければ自治体に丸投げで、実効性がないのと同じです。文部科学大臣のご見解をお伺いいたします。

教員の過労死はご遺族にとっても学校とっても大変不幸なことであり、絶対に回避しなければなりません。一年単位の変形労働時間制に関してはご遺族の方から夏休み等の長期休業期間に休みのまとめ取りを予定したとしても、今の教員の労働環境では夏休みまでもたないのではないかという懸念が示されています。神奈川県過労死家族会の工藤幸子さん、今日も工藤幸子さんや中野さん、山口さんがわざわざ傍聴に来ていただいておりますが、工藤幸子さんは2007年に当時中学校の体育教師だったご主人を過労死で亡くされました。工藤さんのご主人は6月に行われた修学旅行から帰ってきて10日後に亡くなられたこと。4月の新学期以降、主に新しい環境下で行事の多い5月から7月の過労死事案も多いという事でございます。文部科学省として教員の過労死事案の発生時期について把握しているのでしょうか。また、一年単位の変形労働時間制を採用した場合に過労死事案が増加することを懸念する声について、文部科学大臣のお考えをお伺いいたします。

本法律案において、一年単位の変形労働時間制の導入のほかに、文部科学省において教員の業務量の適切な管理等に関する指針を策定すると内容に盛り込んでおります。これは平成31年1月に文部科学省が策定した公立学校の教師の勤務時間の上限に関するガイドラインに法的な根拠を与えるものと文科省は説明しています。上限ガイドラインでは原則として月45時間、年360時間といった時間外勤務の上限の目安が示されておりますが、そうした上限がその時間までは勤務することが許される、頑張るべきである意識となってしまう可能性は高いと思います。中教審の答申にもそうした事態は避けなければならないと述べられていますが、具体的な対策については何ら触れられておりません。文部科学大臣が定める指針に沿った勤務時間の管理は最終的に誰の責任で実施されるのでしょうか。指針の内容を教員に適用するために都道府県や市町村の議会での議論を経て条例や規則が定められることになりますが、文部科学省は各地方公共団体における条例等の整備の進捗状況確認、把握する予定がありますか。またその結果について一覧表を作って結果を公表するなどのお考えはお持ちかも伺います。

教員が子どもに対して効果的な教育を行うことができるようになることが学校の働き方改革であるならば、今回の給特法の改正内容はその目的にどの程度資するものなのでしょうか。現在、関係者から多くの懸念が示されている状況であり、文部科学省は国会審議を通してしっかりと説明をするべきです。また学校における働き方改革を推進するためには、給特法の趣旨や教員の勤務のあり方について議論することが重要です。不安や疑問点などの懸念を抱かせている時点で、大学入試における英語民間試験の導入と同じように信頼を失う行為だと言わざるを得ません。せざるを得ない残業は残業と認めてください。残業には残業代等の対価を支払ってください。不払い残業を合法化している給特法の廃止を含めた抜本的な見直しが急務と考えます。文部科学省は給特法の見直しを3年後に行うといっていますが、本当にそのおつもりがあるのか、明確にお答えください。

本法律案については、逆に長時間労働や過労死を増やすという危惧があるため、十分かつ慎重な審議が求められること、そのことを申しあげまして私の質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。

 

(答弁)

萩生田文部科学大臣:

次に、給特法改正法案による教員の勤務時間の縮減のお尋ねがありますが、学校における働き方改革は、特効薬のない総力戦であり、とりくみを総合的にすすめてこそ成果があがるものであると認識しております。本法律案はこうした総合的なとりくみの一環として提出しているものですが、今回の改正により策定することとなる指針を法律上位置付けることで各地方公共団体においても同様の指針を条例や規則等に位置付け、業務の適正化にむけたとりくみが促進されることにより教師の長時間勤務の確実な縮減に資するものと考えております。一方、休日のまとめ取りのための一年単位の変形労働時間制の活用については、これを単に導入自体が日々の教師の業務や勤務時間を縮減するものではありませんが、総合的なとりくみにより、勤務時間の縮減をはかったうえで導入すれば、夏休み等において一定期間のまとまった休日の確保が可能になるなど、教職魅力向上に資するものであると考えております。なお、本年1月の中央教育審議会においても、一年単位の変形労働時間制を導入することで、学期中の勤務が現在よりもさらに長時間化しては本末転倒であると指摘されており、導入にあたっては、まずは業務の削減を前提とする必要があると考えております。また、本制度においては、様々な労働日や労働時間の定め方がありますが、公立学校の教師については具体的に導入にあたっての要件を文部科学省令や指針において規定することで一時間単位の勤務時間の積み上げによる休日のまとめ取りという中央教育審議会の答申の趣旨をふまえた適切な運用が各教育委員会や学校においてなされることが担保される制度とすることとしております。

次に、一年単位の変形労働時間制に関するルールのお尋ねでありますが、休日のまとめ取りのための本制度の活用にあたっては、平日10日間を含む16日間連続の学校閉庁日を設けている岐阜市のように、長期休業期間において業務を確実に減らすことが必要であると考えており、例えば部活動の大会の日程を含めたあり方の見直しに関する関係団体への働きかけ、独立行政法人教職員支援機構の夏季休業期間中の研修日程の見直しなどを行っているところです。さらに、改正法が成立した場合に、新たに制定することとなる文部科学省令や指針において、指針における在校等時間の上限などの遵守、所定の勤務時間を通常より延長した日に延長を理由とした新たな業務の付加はせず、所定の勤務時間を通常より延長したとしても、在校等時間が増加しないようにするなど、規定をすることとしております。また、各地方公共団体における制度の詳細は条例において策定されることとなりますが、文部科学省としては条例のモデル案をしっかりとお示ししたいと考えております。このようなとりくみにより、本制度を選択した地方公共団体において、在校等時間の確実な減少と、休日のまとめ取りが可能となるようにしてまいりたいと考えております。

次に、教員の過労死についてのお尋ねでありますが、過労死等の公務災害の発生時期については集計を持っておりませんが、志ある教師の過労死等の事態は決してあってはならないものであり、文部科学省としてはその根絶をめざして学校における働き方改革の実現にむけたとりくみを総合的にすすめる必要があると考えております。また、今回の休日のまとめ取りにおいて在校等時間を、超過勤務を少なくとも上限ガイドラインで示した月45時間、年360時間等の上限以内とすることを導入の大前提としております。ただしその場合にあっても、学校行事などで所定の勤務時間である7時間45分に収まらない場合に、それを1時間単位で積み上げ、長期休業中に休日のまとめ取りをするしくみです。その際、現在の学校の運営の状況をふまえれば、夏休みにおける休日のまとめ取りも5日間程度が限界であると考えられることから、際限のない勤務時間の上乗せはできません。したがって、この休日のまとめ取りについては、在校等時間が現在より確実に減少されることを前提に、決して長時間化することはない制度とし、その制度のもとで確実に運用を行ってまいります。

次に、指針に沿った勤務時間管理の責任のお尋ねでありますが、今回の法改正により策定することになる指針は、服務監督権者たる教育委員会が講ずべき措置を定めるものであり、指針に沿った勤務時間の管理の責任は、各教育委員会が有することになります。指針をふまえ、在校等時間が上限の目安時間を超えている場合には学校管理運営に関わる責任を有する校長や、教育委員会は業務削減等のとりくみを積極的に果たす必要があり、文部科学省としても社会への明確なメッセージの発信、学校の指導、事務体制の効果的な強化、充実や効果的な事例の横展開などを通じ教育委員会や学校をしっかり支えてまいります。

次に、指針に関する条例等の整備状況の確認のお尋ねでありますが、今回の法改正により策定することとなる指針を参考にして各地方公共団体において教師の勤務時間の上限に関する方針等を作成し、条例や規則などで根拠づけることが重要であり、文部科学省としても条例モデル案を作成し、各地方公共団体にお示しのうえ、条例や規則等の制定を促すこととしております。なお、具体的な方法は今後検討してまいりますが、各地方公共団体における条例や規則等の制定の状況についても確認し、その結果を積極的に発信してまいりたいと考えております。

次に今回の法改正内容が働き方改革に資するかどうかのお尋ねでありますが、今回の法改正の第7条第1項において、教育職員の健康及び福祉の確保を図ることによる学校教育の水準の維持向上のために文部科学大臣が指針を定めると規定されており、専門職である教師が教師でなければできないことに全力投球できる環境を確立し、教育の質の向上を図ることが本改正案の目的です。そのために、今回の法改正により教師の勤務時間に関する上限ガイドラインを指針として法律上位置付けることにより、業務の適正化にむけたとりくみが促進され、在校等時間の縮減の実効性が高まるものと考えております。さらに、休日のまとめ取りのための一年単位の変形労働時間制の活用については、総合的なとりくみにより勤務時間の縮減をはかったうえで、導入すれば夏休み等において一定期間のまとまった休日の確保が可能になるなど教職の魅力向上に資することとなり、能力のある質の高い方々が教師をめざすことを後押しし、子どもたちに対して効果的な教育を行うことができると考えております。

次に、給特法の抜本的な見直しのお尋ねでありますが、給特法は、教師はどこまでが業務であるのか切り分け難いという教師の職務をふまえ、時間外勤務をいわゆる超勤四項目に限定したうえで時間外勤務手当等は支給しない代わりに勤務時間内外を問わず包括的に評価をして教職調整額を支給するしくみであり、所定の勤務時間を超えて学校で教育活動を行っていたとしても不払い残業にはなりません。一方、給特法制定から半世紀を経た現在、保護者や地域の意識の変化の中で、子どもに関することは何でも学校や教師の仕事として業務が大きく積みあがっている状況です。また、働き方改革推進の観点から、労働法制も大きく転換しており、給特法のあり方についても検討する必要があると考えておりますが、見直しにあたっては、確かなデータと国民的な議論が必要です。そのため、今回の法改正をふまえ、まずは教師でなければできないことに教師が集中できるよう働き方改革の強力な推進により、業務を縮減し、その成果を社会に示しつつ、三年後に教師の勤務実態状況調査を実施し、その結果などをふまえながら教師に関する勤務環境について給特法などの法制的な枠組みを含め、検討を行う必要があると考えております。