「給特法改正案」 22日 参議院本会議で質疑 26/28日 参議院文教科学委員会で審議

~ 概要 ~
【趣旨説明】 萩生田光一文部科学大臣
(前略)
この法律案は、このような観点から、公立の義務教育諸学校等における働き方改革を推進するため、教育職員について労働基準法第32条の4の規定による1年単位の変形労働時間制を条例により実施できるようにするとともに、文部科学大臣が教育職員の業務量の適切な管理等に関する指針を策定及び公表することとするものであります。次に、この法律案の内容の概要について御説明申し上げます。
 第一に、かつて行われていた夏休み中の休日のまとめ取りのように集中して休日を確保すること等を可能とするため、公立の義務教育諸学校等の教育職員について労働基準法第32条の4の規定による1年単位の変形労働時間制を条例により実施できるよう、地方公務員法第58条第3項の規定の適用について必要な読替規定を定めることとしております。

第二に、文部科学大臣は、教育職員の健康及び福祉の確保を図ることにより学校教育の水準の維持向上に資するため、教育職員が正規の勤務時間及びそれ以外の時間において行う業務の量の適切な管理その他教育職員の服務を監督する教育委員会が教育職員の健康及び福祉の確保を図るために講ずべき措置に関する指針を策定及び公表することとしております。
第三に、この法律案は、令和3年4月1日から施行することとしておりますが、教育職員の業務量の適切な管理等に関する指針に関する改正規定は令和2年4月1日から施行することとしております。
このほか、必要な準備行為を定めることとしております。以上が、この法律案の趣旨でございます。

【質疑】 小鑓(こやり)隆史議員(自民)
私は、自民、公明を代表し、ただいま議題となりました法律案につきまして萩生田文部科学大臣に質問いたします。今、学校現場に対する国民の視線は、かつてなく厳しいものになっています。神戸での教職員によるいじめ報道には大きな衝撃を受けました。児童生徒間のいじめ問題に真摯に取り組んでいる教職員の方々にも信じられない事案であったと思います。文科省の調査では、全国の小中高などで把握されたいじめが過去最多となり、いじめの撲滅は喫緊の課題でありますが、後輩をいじめている教員の指導を生徒たちはまともに受けるでしょうか。いじめ撲滅のためにも、失われた教員への信頼を取り戻すことが何よりも大事であると考えますが、どのように取り組むおつもりでしょうか、その方針をお伺いいたします。
(中略) 教育は国家百年の計であり、子どもたちの生き抜く力を育むという観点からも極めて崇高かつ重要な職業であるにもかかわらず、先生になりたいという思いが就職時期になると変わってしまうのでしょうか。
定年退職教員の増加により、より多くの教員を採用する必要が生じていること、また民間企業等の採用が活発になっていること等が背景にあるとの指摘もあります。しかし、志望者減の大きな理由の一つが長時間勤務にあるのは間違いがありません。事実、OECDが公表した昨年の国際教員指導環境調査では、日本の教員の労働時間は小中共に加盟国最長でありました。企業等での働き方改革が進む中、勤務時間が長く、休みも取ることもままならない状況であれば、学校で子どもたちの未来をつくる仕事に携わりたいという思いも厳しい現実の前に座してしまうのかもしれません。(中略)
 教員本来の任務である教育に全力を注ぐことができるよう、教員の働き方改革をどのように進めていくおつもりでしょうか。また、社会全体の中でもIT化が遅れている学校で、その整備や活用をどのようなスピード感を持って進めていき、教員の職場環境の改善を図っていくのか、その取組方針をお聞かせください。
働き方改革を進めていく上で、本法案にある1年単位の変形労働時間制の導入は改善の第一歩であると考えますが、仮に教員の忙しさが変わらないとするのであれば、結局、日々の勤務時間の上乗せが固定化されたり、夏休み中の期間以外には休日を取得しづらくなったりするのではないか、育児や介護に支障が生じるのではないかといった不安の声もあります。このような不安を払拭できなければ、教員の働き方改革は実効性を伴うものとはなりません。具体的にどのようにこの1年単位の変形労働時間制を導入し運用していくのか、その方針についてお伺いいたします。
教員の働き方改革を考えるに当たっては、そもそも教員の勤務時間とは何かを明確にすることも大切です。(中略)残業の上限は原則月45時間、年360時間とするガイドラインを定めていますが、今回の法案でこれを法的に位置付けることとしています。教員の長時間労働を改善する上で重要な措置であると考えますが、一方で、これまで学校が地域のスポーツ活動や文化活動に果たしてきた役割を十分に考慮する必要があります。指導者がいなくなることで子どもたちのスポーツや文化活動の機会を奪ってしまい、彼らの頑張りたいという気持ちをくじいてしまう、また、そのような子どもたちの思いに応えることができない教員が歯がゆく感じる、そんなことがあっては元も子もありません。スポーツや文化活動を学校単位から地域単位での実施に移していくとしても、その受皿がなければ絵に描いた餅です。子どもたちの体力をつくり、健康を守り、そしてやり遂げる力などを育むために、地域でのスポーツ活動、文化活動の受皿をどのように整備充実させていく方針でしょうか、お伺いいたします。

【答弁】 萩生田文科大臣
神戸市の事案については、児童に対していじめは絶対に許されないことを指導する立場であるにもかかわらず、複数人で暴力行為等を繰り返していたことは、児童を預かる教師として言語道断であり、極めて遺憾です。(中略)現在、全国の教育委員会で行われた平成30年度中のセクハラやパワハラ等の教職員同士のトラブルに係る懲戒処分等の実態について報告を求めているところであり、年末にはこれらを取りまとめて実態を明らかにしてまいります。その調査結果等を踏まえて、全国の教育委員会に服務規律の確保を徹底するとともに、教職員からの相談を受け付ける窓口などの体制を整備、周知するよう指導してまいりたいと考えております。(中略)
次に、教員の働き方改革の進め方とIT環境の整備についてのお尋ねでありますが、学校における働き方改革は特効薬のない総力戦であり、あらゆる手だてを尽くして取り組む必要があると考えております。今回の給特法改正により、公立学校の教師の勤務時間の上限に関するガイドラインの考え方を踏まえた指針を法律に定めることで実効性を強化するとともに、夏休み等の休日のまとめ取りを推進するほか、文部科学省として、社会への明確なメッセージの発信や労働安全衛生管理の徹底など、学校、教師の業務の適正化を進めてまいります。
また、学校の指導、事務体制の効果的な強化充実を図るため、令和元年度予算においては、小学校の英語教育のための専科教員を始めとする定数改善や、部活動指導員やスクールサポートスタッフなど専門スタッフ、外部人材の配置拡充に係る経費等を計上しているところであり、引き続き、令和2年度概算要求においても更なる充実を盛り込んでいるところです。さらに、学校における児童生徒はもとより、教師もICTを十分活用することのできるハードウエア、ネットワーク等の環境整備を達成するため、その整備促進を図ってまいります。
今後、これまでの業務改善取組状況調査の内容を抜本的に見直し、調査の結果については市町村別に公表した上で、各自治体における取組を促し、効果的な取組事例については積極的に発信し、横展開を図り、改革サイクルを確立してまいります。
このような取組に加え、本年4月から中央教育審議会において、小学校高学年における教科担任制導入など新しい時代を見据えた学校教育の実現に向けて、教育課程、教員免許、教職員配置の一体的検討が行われており、施策を総動員して学校における働き方改革を強力に進めてまいります。
次に、1年単位の変形労働時間制についてのお尋ねでありますが、(中略)具体的には、文部科学省令において、本制度の導入の趣旨が長期休業期間等における休日のまとめ取りである旨を明確に示した上で、公立学校で休日のまとめ取りのために本制度を活用する場合には指針に従うべき旨を規定することと考えております。その上で、指針においては、導入に当たっては、指針の上限時間や部活動ガイドラインの休養日や活動時間を遵守すること、所定の勤務時間の延長は、長期休業期間中等の業務量の縮減によって確実に確保できる休日の日数を考慮して、年度当初や学校行事等で業務量が特に多い時期に限ること、画一的に導入するのではなく、育児や介護を行う者などの個々の事情に応じて適用することを踏まえ、職員会議や研修等については通常の所定の勤務時間内で行うこと等を規定することとしております。

次に、スポーツや文化活動を地域単位で実施する際の受皿の整備のお尋ねでありますが、文部科学省といたしましては、運動部活動の在り方に関する総合的なガイドラインや文化部活動の在り方に関する総合的なガイドラインに基づき、学校と地域が協働、融合した形での地域におけるスポーツや文化環境の整備を進めることとしております。教審答申においても、地域に部活動に代わり得る質の高い活動の機会を確保できる十分な体制を整える取組を進め、環境を整えた上で、将来的には、部活動を学校単位から地域単位の取組にし、学校以外が担うことも積極的に進めるべきであると指摘されており、省内に設置した部活動の在り方検討チームにおいても、今後の部活動の在り方について議論を進めることとしています。

質疑】 斎藤嘉隆議員(立憲・国民.新緑風会・社民)~日政連・愛知
大学入試改革についてもお伺いいたします。先日の英語民間試験の中止は、あまたの問題があるにもかかわらず、具体的な方策を後回しにし、導入ありきで結論を急いだ文部科学省、そして、政治主導で無理筋を押し通してきた一部の与党議員に大きな責任があります。多くの高校生、受験生に精神的負担や時間的負担を掛けた責任について非を認めるべきです。検討過程のどこにどのような問題があったと考えているのか、お聞きします。
また、実施の延期ではなく、廃止も含め全てをゼロベースで検討し直す、こういう認識でよいですか。大臣の答弁を求めます。国語、数学の記述式問題についても伺います。一部の採点をアルバイトが当たることへの根強い懸念にどう応えますか。(中略)
私たち野党各会派は、14日に共同で、記述式試験中止法案を提出しました。萩生田大臣、「過ちては改むるにはばかることなかれ」です。高校生、受験生のためにも中止に向けた一刻も早い決断が必要です。記述式を中止するのか、しないのなら、その理由について見解を求めます。

給特法改正案について伺います。本改正案の柱は、月45時間、年360時間という上限ガイドラインにおける時間外勤務の上限の遵守を図ること、忙しい時期の勤務時間を延長し、他の時期に休日をまとめ取りするための1年間の変形労働時間制を適用するという二点です。
今回の給特法改正の趣旨は、教員の働き方改革、多忙化解消です。しかし、この働き方改革、多忙化解消は、教員の労働条件改善が唯一の目的ではありません。現在の学校には、かつてあったおおらかさとゆったりした時間の流れが全くありません。先生たちは常に時間に追われ、放課後の職員室は静かにパソコンに向かう先生方が多く、さながらネットカフェのようです。教員の多忙な状況を改善することは、子どもたちへの行き届いた教育を保障するための方策です。子どもたちの教育に直接費やす時間をいかに増やすか、こうした視点から、改正案を吟味し、質問をしていきたいと思います。
(中略)まず、時間外勤務の管理について伺います。日本の教員の勤務は国際的に見ても異例、一週間の仕事時間は小学校、中学校共に参加国・地域の中で最長、一方で、職能開発に掛ける時間は小中とも最短でした。掛けるコストの少なさは際立っているにもかかわらず、国際的な調査などでも高い評価を受けている日本の教育水準や対応の幅広さは、教員の時間外勤務を含む対応で支えられていると言っても過言ではありません。本法改正の前に、教職員定数増を始めとした教育条件整備の充実こそ進めるべきです。萩生田大臣の認識を伺います。
連合総研の調査では、中学校教員の平均出勤時刻は7時25分、退勤時刻は19時37分、在校時間は12時間12分です。これが平均です。時間外勤務手当は支払われません。代わりに、給料月額の4%が教職調整額として支給されています。1966年の実態調査で、月平均8時間が時間外勤務の平均時間として算出され、この水準が定められました。約50年前のことです。給特法では、教員には原則時間外の勤務が認められていません。災害時や行事への対応など、超勤4項目のみ限定的に認められるものとなっています。(中略)文科省は、1月に定めた上限ガイドラインに関し、その運用について示したQ&Aの問1の中で、超勤4項目以外の業務の時間については、勤務時間管理の対象であると記載をしています。その一方で、問2では、校務であったとしても、使用者からの指示に基づかず、所定の勤務時間外に超勤4項目以外の業務を教師の自発的な判断により行った時間は労働時間に含まれないとも記載しています。使用者からの指示に基づかない時間は労働時間でないのであれば、勤務時間管理の対象にはならないのではないですか。この二つの記載は両立しないと考えますが、見解を伺います。
正確な勤務状況の把握のためには、タイムカードなどによる勤務管理が不可欠です。変形労働に限らず、上限規制に関しても、確実な勤務時間管理が行われなければ何の意味もありません。現在、学校現場はどのような方法で勤務時間管理を行っているのか、(中略)施行までにタイムカードなどの客観的な記録方法を用いての時間管理が全ての学校で行われるということでよいか、この点についても答弁を求めます。
昨年の文教科学委員会で、私の質問に対して当時の柴山大臣は、2019年度はまず業務を減らす、その上で在校等時間の上限を規定する、そして1年単位の変形労働時間制を導入する旨の働き方改革実現へのスケジュールを示されました。2019年度、答弁で言及されたように業務は減ったのでしょうか。学校における働き方改革に関する文部科学省工程表によると、本年4月から夏までに業務改善状況調査を実施し、夏以降に市区町村別に公表とありますが、業務削減の状況や勤務実態はどうでしたか。結果の速報値はいつ発表されるのですか。なぜ本法案の審議に間に合うように公表しないのか、答弁を求めます。
業務が減らないまま在校等時間等の上限を規定しても、持ち帰り仕事が増えるだけです。むしろ教員の勤務実態が見えなくなるおそれがあります。教員の健康管理の面からも、施行後の持ち帰り仕事の実態把握が不可欠だと考えますが、どのように把握する考えなのかをお伺いをいたします。
1年間の変形労働制についても伺います。変形労働は、実労働時間の削減にはつながりません。民間のデータを見ると、1年間の変形労働時間制を適用している企業ほど総労働時間が長いという結果が出ています。文科省からは、業務の多い4月、6月、10月、11月などの年間13週の勤務時間を週当たり3時間程度延長し、計30時間分を5日間の休日として、長期休業中にまとめ取りをするとの例示がなされています。
しかし、長期休業中には各種の法定研修、部活動指導、補習なども実施されており、これだけの休日を設定できるのか疑問です。現在、夏季休業中の年休取得日数は約5日間、これに加えて5日間、あるいはそれ以上の休日を設定するためには、休業中の徹底的な業務削減が必要です。現状のままなら、年休取得日数が減少するだけになりかねず、実労働時間を増加させかねません。文科省としての具体的対応策を伺います。
今後、文科省が示す指針を基に、各都道府県では条例の改正を行い、条例を踏まえ市町村で規則などの整備が進められます。最終的には、各学校の年間計画を踏まえ、学校ごとに1年単位の変形労働の活用の有無や具体的内容が定められるものと理解をしています。文科省は、条例案のイメージ的なものを示すのか、そこに含まれる内容としてどのようなものを想定をしているのか、それは拘束力のあるものなのかをお伺いいたします。
本改正では、給特法の抜本的見直しとはなっていません。文科省は、3年後の実態調査の実施を明言し、実態調査の結果を踏まえ、法制的な枠組みの検討を行うとしています。幾多述べてきた給特法上の矛盾は、今回のような一部改正では解消することはできません。実態調査後に行う法制的な枠組みの検討とは、給特法の廃止や抜本的な見直しを含むものと認識をしています。この認識でよいですね、大臣、明確にお答えください。
最後に申し上げます。現在の教育現場の困難の多くは政治がもたらしたものです。学校には、教育改革、教育再生の名の下に、次々と新たな課題が持ち込まれてきました。地域連携も、道徳教育も、早期英語教育も、プログラミング教育も必要性を否定するつもりはありません。しかし、その多くが効果的な条件整備を伴わない業務追加となり、結果、現場は疲弊し、子どもたち一人一人へのきめ細かな指導を困難にしてきました。今、本気で学校における働き方改革を進めるなら、学校や教員が担う業務や役割を何か具体的にスクラップするべきです。
例えば、全国的な教員不足の原因の一つとなっている教員免許更新講習を廃止してはどうですか。悉皆型で行われている全国学力・学習状況調査を抽出型にしてはどうでしょうか。中学校の部活動は、中体連等と議論し、構造的改革や廃止を図ってはどうですか。詰め込むばかりでなく、何かを思い切って切り離していく、これこそ業務改善の唯一の効果的な手だてです。何を省くか、最後に大臣の見解をお願いをし、質問を終わります。以上です。(拍手)

【答弁】 萩生田文科大臣
民間試験の導入における問題のお尋ねでありますが、各大学の入学者選抜における英語四技能評価の活用を支援することを目的とする大学入試英語成績提供システムについては、文部科学省が民間試験団体の取組を十分に指導監督できるような制度設計となっておらず、かつ連携調整が十分でなかったことから、各大学の活用内容、民間試験の詳細事項等の情報提供不足など、準備の遅れにつながることとなりました。また、11月時点に至っても、経済的な状況や居住している地域にかかわらず、ひとしく安心して試験を受けられるような配慮が十分なものになっていない、文部科学大臣として自信と責任を持って受験生の皆様にお勧めできるシステムになっているとは言えないと判断し、来年度からの導入見送りをしたところでございます。
次に、英語民間試験の検定についてのお尋ねでありますが、大学入試における英語四技能評価については、大学入学共通テストや各大学の個別試験の中でどのようにするのか、経済的な状況や居住地域にかかわらず、ひとしく安心して試験を受けられるような配慮が十分なのかなどについて、高校や大学関係者などの意見も聞きながら、今後1年を目途にしっかりと検討してまいりたいと考えています。(中略)
次に、記述式についてのお尋ねでありますが、記述式問題の採点事業者においては、大学入試センターが作成した採点基準を分かりやすく採点者に伝えるための採点マニュアルを作成し、おおむね20日以内という短い期間で正確な採点作業を実施するため、大学入試センターが設置をする採点基準策定委員会に出席し、必要な準備を行うこととしており、その中で試験問題や正答の条件を知り得ることとなります。ただし、大学入試センターと採点事業者の間で締結した業務請負契約書において、相手方から知り得た一切の情報を厳に秘密として保持し、第三者に漏えいしてはならないという守秘義務を課しています。また、当該会議の出席者は大学入試センターから事前の承認を受けることなど限られた者とされており、出席する際は、大学入試センターが指定し環境を整備した場所において、私物の持込みや資料の持込みを禁止するなどが仕様書において定められています。このような取組により、大学入試センターにおいて情報漏えいを防止するための方策を徹底していると考えております。(中略)
記述式問題導入については、平成29、30年度に実施した試行調査の結果、採点の質や、自己採点と採点結果の不一致等の課題があると認識しており、記述式問題が円滑に実施されるよう、引き続き、問題や採点方法について、更にどのような改善が可能であるか、様々な方策について検討し、取り組んでまいります。
次に、教育条件整備の充実の必要性についてのお尋ねでありますが、上限ガイドラインを実効性あるものとし業務の削減を進めるためには、学校や教師の業務の役割分担や適正化による業務負担の縮減を図るとともに、その前提となる学校の指導、事務体制の効果的な強化充実等を図ることが必要です。そのため、学校現場における業務の見直し、改善に加え、令和元年度予算においては、平成29年の義務標準法改正による定数改善や小学校の英語教育のための専科教員1,000人を始めとする合計1,456人の定数改善を計上しているほか、中学校における部活動指導員やスクールサポートスタッフに係る経費を計上しているところであり、引き続き、令和2年度概算要求においても更なる充実を盛り込んでいるところです。
さらに、学校における働き方改革の観点も踏まえつつ、本年4月から、中央教育審議会において、小学校高学年における本格的な教科担任制の導入など、新しい時代を見据えた学校教育の実現に向けて、教育課程、教員免許、教職員配置の一体的検討が行われています。これらの検討については、今年度中に方向性を、来年度には答申をいただいた上で令和4年度以降に必要な制度改正が実施できるよう文部科学省として検討を進めてまいります。
次に、勤務時間後の業務についてのお尋ねでありますが、給特法は、教師はどこまでが業務であるのか切り分け難いという教師の職務を踏まえ、時間外勤務命令をいわゆる超勤4項目に限定した上で、時間外勤務手当等は支給しない代わりに、勤務時間の内外を問わず包括的に評価して教職調整額を支給する仕組みです。御指摘の業務は、いわゆる超過4項目に該当せず、教師が自らの判断で自発的に働いているものと整理されます。他方で、御指摘の業務は校務として行われているものであり、超過勤務命令に基づくものではないのであっても、学校に必要な業務として働いていることに変わりはありません。
次に、上限ガイドラインQ&Aの記述についてのお尋ねでありますが、労働基準法における労働時間とは、使用者の指揮命令下に置かれている時間であり、先ほど申し上げたとおり、公立学校においては、所定の勤務時間外に校長の超過勤務命令によらず教師が働いている時間は、労働基準法上の労働時間とは言えません。一方で、そのような場合において超勤四項目以外の業務を行っている場合には、校務として行うものについては、超過勤務命令に基づくものでないものであっても、学校に必要な業務として働いていることに変わりありません。また、校長や教育委員会は、学校の管理運営一切について責任を有していることから、所定の勤務時間外に校長の超過勤務命令によらずに教師が働いている時間も含めて勤務時間管理を行い、教職員の健康を管理し、働き過ぎを防ぐ責任があると言えます。
そのため、文部科学省としては、公立学校の教師の勤務時間の上限に関するガイドラインを策定し、超勤4項目以外の業務を行う時間を含めて在校等時間として定め、その縮減を図るために、これを勤務時間管理の対象とすることを明確とした上で、その上限の目安時間を示したところです。今回新たに策定する指針においても同様の内容を示すこととしております。
 このように、御指摘の記載は両立するものと考えており、今回の指針を法律上根拠付けることにより、学校における勤務時間管理の徹底や在校等時間の縮減の実効性を高めてまいりたいと思います。
次に、勤務時間管理の把握方法等についてお尋ねでありますが、調査時点は約一年半前になりますが、平成30年4月1日時点の平成30年度教育委員会における学校の業務改善のための取組状況調査によると、ICTの活用やタイムカードにより勤務時間を客観的に把握していると回答した教育委員会は、18都道府県、38.3%、9政令市、45%、696市区町村、40.5%となっております。
次に、客観的な記録方法による時間管理についてのお尋ねでありますが、勤務時間管理は従来より、労働法制上、教育委員会や学校の責務とされていましたが、働き方改革推進法による労働安全衛生法等の改正により、タイムカードなどの客観的な方法等による勤務時間の状況の把握が公立学校を含む事業者の義務として法令上明確化されました。文部科学省としても、本年1月に策定した公立学校の教師の勤務時間の上限に関するガイドラインにおいても、在校時間はICTの活用やタイムカード等により客観的に計測し、校外の時間も本人の報告等を踏まえてできる限り客観的な方法により計測することとしており、今回の改正により策定することとしている指針においても同様の内容を示すことを想定しています。業務改善を進めていく基礎として客観的な勤務時間管理は不可欠であり、文部科学省としては、引き続き、各教育委員会における勤務時間管理の状況を調査、公表することなどにより、来年度に向けて客観的な勤務時間管理が徹底できるように促してまいりたいと思います。(中略)
次に、実態調査の公表等についてのお尋ねでありますが、業務改善取組状況調査については、昨年は4月に実施したところ、本年は、当該調査を抜本的に見直した上で、8月に都道府県・政令市・市町村教育委員会に対して調査を実施したところです。全体の集計を一旦行った上で、現在、公表に向けて各自治体に再度回答内容の確認を依頼しているところです。
なお、来年度の調査においては、全ての自治体における年間の在校等時間の状況を把握の上、公表する予定ですが、自治体独自による調査では、横浜市、熊本市などで業務縮減の成果が上がっていると承知をしております。
次に、持ち帰り仕事についてのお尋ねです。いわゆる持ち帰りの時間については、外形的な把握が困難と考えられることから、上限ガイドラインにおける在校等時間には含まれないこととしています。ただし、自宅等で行う業務であっても、各地方公共団体で定める方法によるテレワーク等によるものについては在校等時間に含まれます。なお、上限ガイドラインの留意事項に示すとおり、上限の目安時間を守るためだけに自宅等に持ち帰って業務を行う時間が増加してしまうのは、本ガイドラインのそもそもの趣旨に反するものです。こうした考え方は、今回の改正案により定める指針でも同様の内容を示してまいりたいと考えています。教育委員会と校務をつかさどる校長には、教師が上限の目安時間を守るためだけに自宅等に持ち帰って業務を行う時間が増加することのないよう、限られた時間の中でどの教育活動を優先するかを見定め、それを踏まえた適切な業務量を設定と校務分掌の分担を図るとともに、このようなガイドラインの趣旨や学校における働き方改革の考え方を校内において十分に共有するといった、管理運営に係る責任を果たすことが求められているところです。こうしたことについては、文部科学省としてもしっかり周知をしてまいります。
次に、1年単位の変形労働時間制に関する条例についてのお尋ねでありますが、休日のまとめ取りのために1年単位の変形労働時間制を活用するに当たっては、各地方公共団体で条例を策定することとなりますが、文部科学省としては条例のモデル案をお示ししたいと考えております。この条例モデル案においては、対象者、対象期間、対象期間における勤務日等についての定め方を規定し、具体的な指定については服務監督権者である教育委員会の規則等で定めることとすることを想定しており、本国会での審議内容も踏まえ、検討を進めてまいります。
1年単位の変形労働時間制においては様々な労働日や労働時間の定め方がありますが、公立学校の教師については、具体的に、法改正が成立した場合に新たに制定することとなる文部科学省令や指針において、本制度を活用する場合の要件等を規定することで、1時間単位の勤務時間の積み上げによる休日のまとめ取りという中央教育審議会の答申の趣旨を踏まえた運用が各教育委員会や学校においてなされるよう、拘束力を持って担保される制度といたします。
具体的には、文部科学省令において、本制度の導入の趣旨が長期休業期間等における休日のまとめ取りである旨を明確に示した上で、公立学校で休日のまとめ取りのために本制度を活用する場合には指針に従うべき旨を規定することと考えております。
 このように、休日のまとめ取りのために1年単位の変形労働時間を活用するに当たっては、改正後の給特法や文部科学省令、指針などを踏まえ、これらに適合する運用をしなければならないのは当然であり、各地方公共団体で適切な運用がなされるよう、文部科学省としても指導をしてまいります。
次に、給特法の見直しについてのお尋ねでありますが、今回の法改正を踏まえ、まずは教師でなければできないことに教師が集中できるよう、働き方改革の強力な推進により業務を縮減し、その成果を社会に示しつつ、3年後に教師の勤務実態状況調査を実施し、その結果を踏まえながら、教師に関する勤務環境について、給特法などの法制的な枠組みを含め検討してまいります。(中略)この検討の観点としては、本年1月の中教審答申を踏まえた働き方改革の総合的な取組の中で、教師の職務と業務量の量をどう捉え評価するか、これからの時代における教師の職務にふさわしい給与等の処遇の在り方をどう考えるか、教師集団の流動性や多様性を高める中で、それぞれの教師のライフステージやキャリアパスを踏まえ、子どもたちと向き合い、教育の質の向上に取り組もうとする教師の意欲や能力の向上に資する給与等の処遇の仕組みをどう構築するかなどが考えられます。
次に、文部科学省として学校現場に課しているもので何を省くことができるのかについてお尋ねでありますが、御指摘の点については、本年1月の中教審の答申においても、文部科学省が取り組むべき方策として、学校の業務を増やさない又は減らすようスクラップ・アンド・ビルドを原則とするように指摘されており、減らすべき業務を廃止、縮減していくことは業務改善の基本であると認識しております。同答申では、今後更に検討を要する事項として、年間授業時間数や標準的な授業時間等の在り方を含む教育課程の在り方の見直し、免許更新制により、教師の資質能力向上に実質的に資するようにすることも含め、能力が高い多様な人材が教育界に加わり、意欲的に教育活動を行うための養成、免許、採用、研修全般にわたる改善、見直し等について提言をいただいております。同答申を踏まえ、本年4月から中教審において、小学校高学年における教科担任制導入など、新しい時代を見据えた学校教育の実現に向けて、教育課程、教員免許、教職員配置の一体的検討が行われており、スクラップ・アンド・ビルドの原則を踏まえ、施策に総動員して学校における働き方改革を強力に進めてまいります。