速報 12月4日 参議院本会議「給特法改正案」が成立

 ~ 衆議院決議以上の「付帯決議」を取り付ける ~

12月4日、参議院本会議において、「公立の義務教育諸学校等の給与等に関する特別措置法の一部を改正する法律案」(以下、給特法改正案」)が採決され、成立しました。参議院委員会において日政連議員を中心とした「立憲・国民・社民」等の共同会派の尽力により、衆議院決議の「附帯決議」をさらに充実させた内容で採択をさせています。
なお、3日の参議院委員会での日政連水岡俊一議員の質問に対して、文科大臣は、3年後の勤務実態調査をふまえた給特法の抜本的な改正につながる、踏み込んだ答弁発言をしています。

附帯決議~概要

一 本法第7条の指針(以下「指針」)において、公立学校の教育職員のいわゆる「超勤4項目」以外の業務の時間も含めた「在校等時間」の上限について位置付けること。
各地方公共団体に対して、条例・規則等そのものに教育職員の在校等時間の上限時間数を定めるよう求めること。

二 教育委員会及び校長は、ICT等を活用し客観的に在校等時間を把握するとともに、公文書としてその管理・保存に万全を期すこと。
政府は、各地方公共団体が労働安全衛生法に基づいて、勤務時間の自己申告ではなく、客観的な把握ができるようにするための財政措置を拡充すること。

三 上限指針は、教育職員がその上限時間まで勤務することを推奨するものではないこと。
「児童生徒等に係る臨時的な特別の事情」を指針に定める場合は、例外的かつ突発的な場合に限定されることを周知徹底すること。
また、上限時間を守らせるために、自宅等における持ち帰り業務時間が増加することがあってはならないこと、持ち帰り業務時間を減らすことについて指針に明記すること。教育委員会は、持ち帰り業務の縮減のために実態把握に努める。

四 教育委員会及び校長は、学校規模に関わらず、労働安全衛生法によるストレスチェックの完全実施に努めるとともに、優先すべき教育活動を見定めた上で、適正な業務量の設定と校務分掌の分担等を実施することにより、教育職員の在校等時間の縮減に取り組むこと。政府は、その実現に向け十分な支援を行うこと。

五 政府は、1年単位の変形労働時間制の導入が教育職員の健康及び福祉の確保を図り、業務縮減をした上で、学校の長期休業期間中等に、休日を与えることを目的としていることから、地方公共団体がその目的に限って条例で定めることができる旨を文部科学省令に規定すること。

六 政府は、一年単位の変形労働時間制を活用した長期休業中等の休日のまとめ取り導入の前提要件として、指針に以下の事項を明記し、導入する場合に遵守するよう文部科学省令に規定し周知徹底すること。導入する学校が遵守されているか、各教育委員会が十分に確認すること。

1 指針における在校等時間の上限と部活ガイドラインを遵守すること。

2 所定の勤務時間の延長は、長期休業期間中等の業務量の縮減によって確実に確保できる休日の日数を考慮して、年度当初や学校行事等で業務量が多い時期に限定すること。

3 所定の勤務時間を通常より延長した日に、当該延長を理由とした授業時間や部活動等の新たな業務を付加しない。
超勤4項目として臨時又は緊急のやむを得ない必要があるときに行われるものを除き、職員会議や研修等については、通常の所定の勤務時間内で行われるようにすること。

4 所定の勤務時間を縮小する日は、勤務時間の割り振られない日として、長期休業期間中等に一定期間集中した学校閉庁日として設定できるようにすること。

5 教育職員の終業時刻から始業時刻までの間に、一定以上の継続した休息時間を確保する勤務間インターバルを確保すること。

6 全ての教育職員に対して画一的に導入するのではなく、育児や介護を行う者、その他特別の配慮を要する者など個々の事情に応じて適用すること。

七 1年単位の変形労働時間制を導入する場合は、連続労働日数原則6日以内、
労働時間の上限1日10時間・1週間52時間、労働日数の上限年間280日等とされている労働基準法施行規則の水準に沿って文部科学省令を定めること。
対象期間の労働日数と労働時間については、事前に明示する必要を周知徹底するとともに、地方公務員法第55条第1項及び第9項の対象であることについて、通知等による適切な指導。助言を行うこと。

八 政府は、本法、文部科学省令、指針に逸脱した運用の防止策として、教育職員等からの文部科学省や教育委員会への相談窓口を設けるよう促すこと。

九 学校における働き方改革に関する総合的な方策を取りまとめた中央審議会答申の実現に向けて、国・都道府県・市区町村・地域・学校が一体となって取り組むこと。
教育委員会は、学校任せにせず、自らが主体となって強力に推進すること。
国及び地方公共団体は「教員採用試験の倍率低下」や「教員不足」といった課題解決のための対策に万全を期すこと。
国は、抜本的な教職員定数の改善、サポートスタッフや部活指導員の配置拡充をはじめとした環境整備のための財政的措置を講ずること。

十 政府は、部活動を学校単位から地域単位の取組とし、学校以外に主体が担うことについて検討を行い、早期に実現すること。

十一 教職に優秀な人材を確保する観点から、人材確保法の理念に沿った教育職員の処遇の改善を図ること。

十二 3年後を目途に教育職員の勤務実態調査を行った上で、本法その他の関係法令の規定について検討を加え、その結果に基づき所要の措置を講ずること。


12月3日の参議院委員会での水岡議員に対する文部科学大臣の答弁要旨

〇「客観的にみて、使用者の黙示的な指示により労働者が業務を行っていると認められれば、労働時間に該当する」という労働基準法の考え方と比較した場合、校長の時間外勤務命令は出せない仕組みになっているため、所定の勤務時間後に採点や生徒への進路相談などを行った時間が勤務時間に該当しないという給特法の仕組みは労働基準法の考え方とはズレがあると認識されている指摘のとおり。

〇今回の改正法案は、言わば「応急措置」として、勤務時間かどうかを越え、校務に従事している時間を「在校等時間」として位置づけ、まずはこれを月45時間、年360時間という上限をターゲットに縮減する仕組みである。

〇この「応急措置」の実効性を高めつつ、省内でも検討チームを設けて、教師に相応しい処遇の在り方の検討を重ね、3年後に実施される教師の勤務実態状況調査を踏まえて、給特法などの法制的な枠組みについて根本から見直す。

〇その際、現在の給特法が昭和46年の制定当初に想定された通りには機能していないことや労働基準法の考え方とのズレがあるとの認識は見直しの基本となる課題であると受け止めており、これらの課題を整理できる見直しにしていきたい。