速報 2020春季生活闘争

日教組は賃金・労働条件改善にむけ文科省に要請

日教組は25日、文部科学省に2020春季要求書を提出し、教職員の賃金・労働条件の改善を求めました。

冒頭、清水書記長(写真左)は新型コロナウイルス感染症に関わる文科省の対応に触れ、「この間、一斉臨時休業に関わり要請させていただいた。文科省からはQ&Aも含めさまざま通知を発出していただくなど、速やかに対応していただき感謝する。昨日発出された通知では学校再開にむけたガイドラインが示されたが、子どもたちの安心・安全がしっかり確保された学校の再開のためのさまざまな課題について、別途、文科省に要請させていただく。教育行政、学校現場を預かる教職員の立場で、1日も早く学校再開をという思いもあるが、子どもたちの安心・安全の保障の視点から、われわれもしっかりとりくんでまいりたい」と述べました。

そのうえで、「20春季生活闘争において、今まさに連合・公務労協とともにとりくみをすすめているところである。そうした中、本日は、教職員の賃金・労働条件の改善に関わり2020春季要求書をお持ちした。働き方改革・長時間労働是正をはじめ、幼稚園から大学まで現場で働くさまざまな職種の教職員の賃金・労働条件の改善、教職員の定年引上げに関わる課題等、多岐にわたって要請させていただいた。春季要求に対する文科省の回答をお願いしたい」と求めました。

蛯名大臣官房審議官(初等中等教育局担当 写真右)は、まずコロナウイルス感染症をめぐり、「教職員をはじめ皆さんには多大な負担と心配をおかけしている。文科省では学校現場においてさまざまな混乱をきたすことがないように、対応に努めているところである。現在も感染者が依然増加するなど、引き続き厳しい状況にある。

そうした中、昨日は、さまざまな状況を十分にふまえながら、まずは徐々に学校が再開できるようにガイドライン等を示させていただいたが、今後の状況等をしっかり見極めながら、改めて何らかの指針等を示さなければならないのではないかと考えている。今後も皆さんからのご意見を伺いながら、文科省として何ができるか考えていきたい」と述べました。

2020春季要求書に対しては、「今年の4月から、各自治体での規定の整備をふまえ働き方改革をスタートさせていかなければいけない状況にある。さらに新学習指導要領のスタートやGIGAスクール構想の本格的指導など、かなり大きな転換期を迎えている。そうした中で、いただいた要求書について、特に重点的なところを回答させていただく」とし、以下のように回答しました。

1.教職員賃金の改善について

●県費負担教職員の給与については、職務と責任の特殊性にもとづいて都道府県・政令指定都市の条例・規則で定められていると認識している。義務教育費国庫負担金については、例年、人事院勧告の内容を適切に反映することとしている。令和元(2019)年度の人事院勧告における平均改定率0.1%、期末・勤勉手当の支給月数0.05月分の引上げについても措置したところ。文科省としてはこうした形での教職員の職務内容にふさわしい賃金改善を、どういった状況下においてもはかってまいりたい。

2.教職員の長時間労働是正にむけた具体的なとりくみについて

●客観的勤務時間の記録・保管については、まず把握すること自体が働き方改革をすすめていく上で最低限必要なことである。働き方改革推進法をはじめ労働安全衛生法の改正が行われたところであるが、タイムカードなど客観的な方法による勤務時間の状況把握が、公立学校を含んだ事業所の義務として法令上も明確化された。

●昨年の改正給特法の臨時国会の審議の際にも、また文科省指針の中でも、在校等時間はICT機器活用やタイムカードなどによる客観的な勤務時間の計測を行うこと、それを公文書として管理・保存を適切に行うことを明らかにしたところである。

●具体的にどうすすめていくかについては、令和2(2020)年度の教職員の加配、スクール・サポート・スタッフ等の外部人材の実際の配分を行うときには、客観的な勤務時間の把握が行われているかどうかを前提として考えることとしている。また、進捗状況や各地方公共団体のとりくみ事例も共有できるよう情報発信を行っている。そうしたことを通して、来年度には全国すべての学校で客観的な方法による勤務時間の把握が行われるようにしていきたい。そのための施策にもしっかりととりくんでいきたい。

●長時間労働の是正策については、学校における働き方改革の特効薬があるわけではないが、総力戦でとりくんでいかなければいけないと考えている。

指針を実効あるものとするために、予算をはじめ、学校や教育委員会でのとりくみ、慣例の見直しも含めあらゆることにとりくんでいく必要がある。文科省が社会と学校の連携のパイプ役になってその役割を果たすということも必要であると考えている。

●また、文科省としては、各地方公共団体における効果的な学校のとりくみ事例について、令和元(2019)年度の「学校の働き方改革のためのとりくみ状況調査」を年末に公表したが、その内容を教育委員会にしっかり周知したところ。

またフォーラムの開催や取り組む事例集の策定など、幅広くとりくみをさらにすすめていきたいと考えている。こうしたとりくみ事例を参考にしながら、各学校や教育委員会において業務の見直しをしっかりと行ってもらうとともに、文科省としても、教育員会から制度として見直しが必要ということであれば、そうした要望もふまえて検討していきたいと考えている。

●定数については、平成29(2017)年に義務標準法の改正を行い、通級指導等の加配の基礎定数化をすすめていきている。加えて、小学校の英語専科教員の充実、指導・事務体制の強化・充実なども来年度予算に盛り込んでいる。また小学校高学年における教科担任制の導入といったことについて、現在、中教審で審議いただいているが、そのためには教育課程や教員免許、教員配置をどうするかといったことも具体的に検討している。

スクール・カウンセラーやスクール・ソーシャルワーカー、スクール・サポート・スタッフなど外部人材についても、地方交付税措置を講じることができる見通しであるが、こうした外部人材の設置の促進もすすめていきたい。

●GIGAスクール構想については、学校の教育内容の高度化に対応したものであると同時に、働き方改革に資するものであるとも考えており、しっかりとすすめていきたい。

●業務削減については、部活動のあり方については、あり方検討チームを省内に設置し検討をすすめている。小学校低学年・中学年の教育課程の重点化のための教育課程の弾力化をすすめることや、免許更新制度の実質化など免許制度の見直し、学校向けの調査の縮減、全国学力学習状況調査のCBT(出題、解答にPC活用)化など、併せて検討していきたい。

3.教職員定数改善等について

●定数については、先ほども述べた通り、平成29(2017)年に義務標準法を改正し、通級指導や日本語指導のための定数については基礎定数化をすすめているところ。小学校専科指導教員の加配については、来年度予算においても1,000人の新規増の改善を行っている。小学校教員の持ち時間数の軽減や専科指導へ積極的にとりくむ学校への支援のために201人の新規増に加え、既存の加配定数から2,000人分を振り替えるということも行った。

●これらのとりくみを確実に行うとともに、中教審で審議をすすめている教科担任制の導入など新しい時代を見据えた学校の実現、幅広い諮問内容となっているが、教育課程や免許、教員配置も含め具体的な検討をすすめている。こうした検討結果については、今年夏までに中間まとめを行い、答申していただき、令和4(2022)年度には制度改正が行えるように検討したいと考えている

●スクール・サポート・スタッフや部活動指導員等外部スタッフの増員について、令和2(2020)年度において、スクール・サポート・スタッフ1,000人増の4,600人、部活動指導員1,200人増の10,200人で、外部人材等の配置拡充に係る経費を盛り込んでいる。

令和2(2020)予算について、今まさに国会で成立間近という状況ではあるが、4月以降しっかりと新しい年度の予算について執行し、環境整備を行い、それを通じて働き方改革にもしっかりととりくんでいきたい。

●GIGAスクールについて、ICT環境の整備については新しい時代のスタンダードとして学校で活用してもらえる状況をつくり維持していける環境をつくっていきたいと考えている。文科省としては、こうした環境の整備・維持管理のため、ICT環境整備等のサポートを行うICT支援員について、地方財政措置等の活用によって自治体における配置促進を行っている。令和2(2020)年度の予算に盛り込んでいるが、ICT環境整備に関する助言や研修の支援などを行うICT教育活動アドバイザーを配置・活用できるよう、必要経費を計上している。今後も学校現場でしっかりICT活用できるようさまざまな施策を推進していく必要があると考えている。

4.定年の引上げについて

●定年引上げについては、公立学校の教職員を含む地方公務員の定年引上げについて、地方公務員法一部改正法案がすでに閣議決定され、国家公務員の定年が引き上げられた場合に、地方公務員の定年についても自治体の条例改正等により引き上げるという方向で、今後国会で審議が予定されている。

●役職定年制については、対象とする職については組織形態や職員の年齢構成、人事管理の状況等をふまえ制度の趣旨に反しない範囲で自治体が条例で定めることができる。さらに校長などに役職定年制を導入する場合でも、欠員の補充が困難な場合など特例的に1年単位で任期を延長できるといった方向で検討がなされている。

●定年前再任用短時間勤務制度の導入により、例えば教員の場合、学級担任はせず特定の教科指導を担当するなど短時間勤務を選択するということも可能とする制度設計になっていると認識している。

引き続き、総務省とも連携しながら対応していきたいと考えている。

●計画的な新規採用については、各教育委員会によって教職員の年齢構成はさまざまな状況にあり、一概にこうあるべしというのは難しいとは思うが、定年を段階的に引き上げることとなる年度には定年退職者が生じない、あるいは想定より少なくなるということもあり得るので、新規採用者が大幅に減少するということも、何もしなければあり得ると考えている。従来からそうしたことが生じないように、長期的な視点から計画的な採用ができるよう各教育委員会に話してきている。引き続きそうした計画的な教職員採用について任命権者が行うよう指導・助言を行っていきたい。

蛯名大臣官房審議官(写真右)の回答に対し、特に市町村において、時間外労働の上限規制に関わり規則改正等がすすんでない状況や、事務職員・栄養職員における36協定締結が不十分な実態を訴え、その課題認識を共有しました。

また、定数改善については、標準定数法の改正による定数改善を基本に当面十分な加配定数を増やすこと、GIGAスクールネットワーク構想に関わり教材のメンテナンスや教材作成・活用の支援に係る人的配置を1校1人とすること、教職員の定年引上げに係る課題の協議の機会を設けること、各自治体で教職員の勤務実態をふまえた十分な手当等が支給できるような予算確保を行うことなどを再度求めました。

最後に清水書記長(写真左)が「2020年度予算が成立すれば、コロナウイルス感染症対策に係る補正予算を組むと聞いている。学校給食の補填の問題、修学旅行のキャンセルに関わる問題等、一斉臨時休業を安倍首相が求めたところから始まっていることから、文部科学省としてしっかりと学校現場、教職員に応えるべく十分な予算の確保をしてもらいたい」と述べ、この日の要請を終えました。


2020年3月25日

文部科学大臣
萩生田 光一 様

日本教職員組合
中央執行委員長 岡島 真砂樹

教職員の賃金・労働条件に関わる2020春季要求書

日頃より、日本の教育の発展や教職員の労働条件改善にむけ、ご尽力されていることに対し敬意を表します。
さて、2020年4月から「働き方改革関連法」が本格的に施行されます。「同一労働同一賃金」への対応をはじめ、有期・短時間・契約等で働く者の雇用の安定、年金支給開始年齢までの確実な就労機会の確保、60歳以降の処遇のあり方への対応、職場の安全対策、育児・介護・治療と仕事が両立できるワーク・ライフ・バランスの実現など、公務や民間、企業規模、雇用形態に関わらず、一人ひとりのニーズにあった多様な働き方の仕組みを整え、安心・安全で働きがいのある職場の構築が求められています。
日教組は、2020春季生活闘争において、連合、公務労協・公務員連絡会に結集し、「賃上げ」「働きの価値に見合った賃金水準」を求めると同時に、「すべての労働者の立場にたった働き方」の見直し、働き方改革の職場への定着を実現すべくとりくみをすすめているところです。
子どもたちのゆたかな学びを保障するためにも、人材確保の観点も含め、教職員の雇用や賃金・労働条件を確保・改善し、教職員が健康で人間らしく働き続けられる環境整備が不可欠です。同時に、教職員一人ひとりが実感できる長時間労働の是正が喫緊かつ最重要課題です。教職員の長時間労働是正のためには、「公立学校の教師の勤務時間の上限に関するガイドライン」が法的に位置づけられた文科大臣告示(指針)の遵守はもちろんのこと、大胆な業務削減や必要な人員確保、教育予算の拡充など、実効ある具体的施策を着実に実行していくことが重要です。
文部科学省におかれましては、教育行政の中央所管機関として、下記事項の実現にむけ主体的なとりくみを着実にすすめるとともに、財務省、総務省、各人事委員会、各教育委員会等に働きかけるなど、最大限努力されるよう要求します。

1.公教育の社会的重要性に応える人材の確保と、教職員が意欲をもって働くことができるよう、教職員の勤務実態と職務の複雑、困難及び責任の度にふさわしい賃金改善を行うこと。
①教員賃金について、人確法等の趣旨や職務・職責をふまえた水準の確保・改善を行うこと。
②諸手当について、教職員の職務や生活実態をふまえ改善すること。
③事務職員、栄養職員、現業職員、実習教員、寄宿舎教員、幼稚園教員、保育教員、学校司書等の賃金改善を行うこと。
④臨時・非常勤教職員について、民間労働法制や改正地方公務員法等の趣旨等をふまえ、処遇を改善すること。
⑤再任用教職員の職務・職責の実態をふまえ、賃金水準を改善すること。また諸手当についても定年前教職員との均衡等を考慮し改善すること。
⑥教職員の退職手当に係る調整額区分の適用改善をはかること。

2.改正給特法第7条関連大臣告示(指針)にもとづく、自治体条例・教育委員会規則・教育委員会「上限方針」の制定のもと、すべての公立学校で客観的な勤務時間が記録・保管されるよう指導助言を講じること。正規の勤務時間で業務を終了させることは服務監督権者の責務であり、そのための業務削減、定数改善等の実効性が高い具体的な長時間労働是正策を国の責任において示すこと。

3.年次有給休暇をはじめ、育児・介護等に係る休暇・休業などの利用実態を検証し、休暇等の取得促進にむけた必要な措置を講ずること。

4.少人数学級の拡充や子どもたちの教育環境改善をはじめ、学校における働き方改革・教職員の長時間労働是正にむけ、以下の項目を実現すること。
①現場実態をふまえた教職員定数改善計画を計画的に行うこと。当面は、十分な加配定数増を行うこと。
②事務職員・養護教諭・栄養教諭・栄養職員の全校配置や複数配置基準の引下げなど、様々な職種の定数改善をはかること。
③スクール・サポート・スタッフ、部活動指導員等の外部スタッフの増員をはかること。
④GIGAスクールネットワーク構想において、1人1台の端末を整備することをふまえ、機材のメンテナンスや教材作成・活用の支援に係る人的配置を1校1人とすること。

5.義務標準定数法、高校標準定数法の未充足がある県に対して、解消をはかるよう指導すること。また、「定数くずし」を廃止するための法改正を行うこと

6.全国的教育水準の確保に不可欠な義務教育費国庫負担制度の国負担2分の1の復元、国立大学法人運営費交付金の増額と教育・研究の自由が確保される公平・公正な配分、ゆたかな私学教育のための私学助成の拡充を行うこと。

7.教職員の定年引上げについては、国に遅れることなく実施されるよう、学校現場の実態をふまえた60歳以降の働き方、役職定年制や定年前再任用短時間制度のあり方など必要な検討を早急にすすめるとともに、総務省をはじめ関係機関に働きかけること。また、段階的な引上げ期間中においても、各教委において計画的な採用ができるよう、必要な措置を講ずること。

8.現行再任用制度のもと任命権者に任用義務があることを周知・徹底し、再任用を希望する教職員全員の任用が行えるようにすること。

9.メンタルヘルス対策を含む教職員の健康管理体制や職場の労働安全衛生体制の確立など、法令に則った労働安全推進体制の整備促進をはかること。東日本大震災・熊本地震をはじめ大規模な自然災害の被災地においては、定期的な健康相談、メンタルヘルス対策等の長期的なサポート体制を構築すること。

10.職場におけるハラスメントの実態と課題をふまえ、あらゆるハラスメントの防止にむけた周知や研修、相談窓口の設置などを行うこと。

11.障害者雇用について、「障害者活躍推進計画」を作成するとともに、相談支援体制の構築や支援スタッフの配置など、障害があっても働き続けられるように職場における環境整備等を十分に行うこと。