だれもが支え、支えられる学習環境をーインクルーシブ教育とは?ー

インクルーシブ学習会 インクルージョンとは、「障害のある人とない人が分け隔てられることなく、障害のある人が排除されずにともに生活できるよう、社会が障害者をきちんと受け入れること」。そして、障害に対して何も行わないこと、つまり合理的配慮を行わないことは、差別とし、学校においてもその対応が問われていきます。

 このことは、2013年に成立した「障害者差別解消法」にも明記されており、2016年4月1日から施行されます。今、日本において障害のとらえ方の転換が求められています。このことは世界的なスタンダードと言えます。

合理的配慮とは?

 障害のない人に対して認められている権利を障害者にも保障し、それを行使するためのもの。つまりそれぞれの特性に合った配慮をすることで、参加の保障をしていくということ。

障害のとらえ方の転換(障害の「医学モデル」から「社会モデル」へ)

 

医学モデル(従来)

社会モデル(これから)

社会的参加の不利になる原因

個人の機能障害・能力障害

社会の側の障壁による排除

障害への評価

克服すべきもの

多様な個人の属性の一つ

障害への対策

根絶、予防、保護

差別禁止

社会的インクルージョン

障害者問題とは

福祉問題

人権問題

 今回障害児教員部では、これからの特別支援の在り方を考えていこうと、筑波技術大学の一木玲子先生をお呼びして、「障害者差別解消法と教育現場 今とこれから」と題した学習会を行いました。

 私たちの教育現場もそうですが、日本全体でもインクルーシブ教育の考え方や議論が深まっていないということを感じています。

講師写真 今回参加者と一木先生の話の中で、私が印象的だったものを紹介します。

避難所の中で(インクルーシブ教育の重要性の例)

 東日本大震災の中で、障害者に対し支援してくれている人がいなくなり、避難所でも命が危なかったり、結局避難所を出て生活を行ったという話を聞いた。しかし、ある高校生は、大丈夫だった。それは、自分が卒業した中学校に避難したからだ。そこで自分を知ってくれている教職員、子どもたち、地域の人がいた。「この子にこれが必要なんだ」と子どもたちが言い、みんなが電源の確保に動いた。このような「つながり」が非常時にとても強い。インクルーシブ教育のベースは、このような日ごろの日常生活のつながりをつくっていくことではないか。

発達障害は増えているのか

 千葉県のある研究所が、発達障害児が増えているのか医学的、遺伝子学などさまざまな観点から検証を行ったことがある。しかし結果はすべての学問分野でわからないということとなった。ただ、唯一わかったことは「社会が不寛容になっている。許せない幅が狭くなっている」ということだった。

しかし、学校現場ではパニックになることが増え、情緒学級に入級することも少なくない

 その子を「大変な子や」と見た瞬間に指導が変わる。発達障害についての指導する側のとらえ方にもよっても子どもたちは変わってくる。

 また、ある方の研究で薬を飲む子も増えているが、薬への依存症も増えているということもいわれている。飲むならば、期間を決めて服薬することも必要ではないか。

インクルーシブ教育をすすめていく上で必要なことは?

 今学校でインクルーシブ教育をすすめていく中で必要なことは、学校全体での体制づくりをすすめていくことと考える。

教室では?

 周りの子との関係が重要になってくる。子どもどうしの関係を大事にしたい。周りの子が気持ちがわかり、先生では思いつかないことを出してくれることもある。またその子自身にとっても同世代からの注意が効き目があるなど大人と子どもではうまくいかないことが子どもどうしでうまくいくこともある。周りの子25人が支援員となるといい。子どもどうしの関係をつくる、自分がいなくても成り立つクラスづくりがインクルーシブ教育に大事である。

人の配置は?

 支援員の方も増えてきたが、打ち合わせする時間がないことにより、かえって混乱する状況も起こっている。加配教員を増やすべきである。

 ただ、その子専属というのはあまりよくない。その子が特別な子という意識を植え付けてしまう。

 兵庫県のある高校生の話では、中学校では車いすでいつも近くに支援する人がいた。高校では普通学校で不安もあったが、その子は「初めて自由を謳歌した」という感想を言った。こういったことも考えると子ども(当事者)にとって必要な支援を行うことも大事にしたい。

学校以外では?

 また、本人・保護者と学校・教育委員会とが対等に話し合える意識と体制が大切である。就学先や合理的配慮について相談するのは精神的に大変な面もある。十分に相談できなかった場合に訴える紛争解決できる第3者機関も必要だ。

 大事にしたいことは、話し合いをしてお互いが納得することだと考える。

 民間と大学の連携を深めていくこともこれから必要となってくるであろう。  (障害児教員部)